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2009年8月27日木曜日

20世紀少年


ピーター・ドラッガーは
40年もの前に21世紀を断絶の時代※1と言った。














時代はまさに今、混沌に満ちている。


その「よげんの書」は、見事に当たったのだ。















今さらながら、
ドラッガーの先見力には驚かされる。

そんな目で、私の身の回りを見ると、
想像を超えることが起こっている。

例えば・・・、

私が生まれ育った故郷、常滑。

















焼き物しか取り柄がない街。

そして、かつては飲食不毛の地とも呼ばれていた街。

ケンタやモスなどの
飲食チェーンはことごとく撤退。

受験生には、「常に滑る」と書くため、
忌み嫌われる街 常滑。

そんな常滑の繁栄など
ジモティ誰もあり得ないと思っていた。

でも、最近では国際空港セントレアができ、
少々キテる感が出て来たのだ。










そんな我が街、常滑に、
今 さらなる追い風が吹いている。


その風とは、20世紀少年※2である。


20世紀少年とは、
浦沢直樹原作の超人気コミック。

その実写化のロケ地して、
常滑が選ばれたのだ。

(堤監督、あんたは見る目がありますぜ!!)

堤幸彦監督は愛知出身の監督で、
ケイゾクやトリックの監督としても有名。

個人的には、
独特の映像テクニックが好きである。

(確か、金田一少年もやって
たっけ??)

そんな堤監督に常滑の街が
目にとまったのは、偶然の賜物である。

20世紀少年第1章の、セントレア空港での1シーン。

(ユキジがバター犬、いや、麻薬犬を語るとこね。)

この撮影がきっかけで、
堤監督は焼き物散歩道と出会ったのだ。

まさに、運命的としか言いようがない。

散歩道を見た堤監督は、常滑を大絶賛。

堤:「昭和の時代の空気をそのまま
   冷凍保存していたような不思議な佇まいだ。」

(要は、ど田舎だってことね。)




















理由はどうあれ、
世界遺産級の風景」と評されたのだ。

(市民として、これ程うれしいことはない。)

そのため、映画の中には、
常滑の名所が随所に散りばめられている。

ケンヂが原付で走った土管坂





















ドンキーが駆け上った相持院の階段














ともだちが作り出した昭和の街、東窯工業




















これら全てが私の小学校区。

少年時代に見た風景が
奇跡的にそのまま残っているのだ。


(変わらないって、案外いいかもね。)


さすがのドラッガーも、常滑の変貌ぶりだけは、
予想出来なかったに違いない。

(そもそも、常滑 知らねぇか?)

私を育ててくれた常滑※3

これからは、恩返しの番である。

私はこれからもずっと
常滑を見届けていきたいと思う。

ともだち、最高!!


≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 断絶の時代・・・
   今の時代、既成概念を捨て去り、
   新しい挑戦をすることが大切である。
   過去の成功体験は全く通用しない。

※2 20世紀少年・・・
   浦沢直樹原作の長編サスペンス漫画。
   『21世紀少年』上下巻で完結する。
   ちなみに、私は長い間『21世紀少年』を知らず、
   ずぅ~っと物足りなさを感じていた。
※3 育ててくれた常滑・・・
   何事もやり抜く気持ち。
   そんな気持ちを育んだのはこの学校のおかげかも・・・。
   詳しくは「mixi」をご覧下さい。









(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。

2009年8月22日土曜日

兵動大樹のおしゃべり大好き。


私は、究極の本末転倒男

やることなすこと裏目裏目と出てしまう。

それでも、今まで何とか生きて来た。


それは、そんな私を笑ってくれる
ISOJINマニアの存在があるからだ。

日々の出来事を粛々とブログに書き留
める。

それも、みんな読者のためである。

こんな私の日記を楽しみにしてくれている
人が少しでもいることはありがたい。


そんな私が、
日本一ミラクルな出来事に巻き込まれる男
ライブに行って来た。

そう、「兵動大樹のおしゃべり大好き※1」だ。












私はすべらない話の「割れたグラス」で
兵動大樹のことを初めて知った。


その動画がこちら。



それ以来、すっかり彼の虜である。

見かけは佐藤浩市KONISHIKI
足して二で割ったような顔をしているが、
めっちゃ、オモロい芸人である。











観察力と表現力をここまで高いレベルで

兼ね備えている人を私は見たことがない。

何て事なのない日常の一場面。

それが、兵動大樹の手にかかれば、
極上の笑いのステージに早変わり。

ホントに、この才能には脱帽する。

今日のライブでも
笑いをドッカンドッカン取
っていた。

ッカーーーーン!!

(時折、聞こえる舞台裏の怪音も気になった。)


ちなみに、今回のライブは自由席

日頃、ついていない私だが、
今回はなんと、前から二番目の席をゲット。

おかげで ライブを存分に満喫することが出来た。

サインももらって私はすっかりご満悦。
















ライブ後、和民で妻と反省会。

興奮している私と裏腹に、何故か元気のない妻。

私:「どうしたの?」

妻:「前の人が邪魔で、全然見えんかったぁ。」

そう、妻と兵動大樹の間には大きな障害物が・・・。














それは、小錦ばりの巨漢な男。

兵動大樹が笑いを取る度、
エセ小錦の巨体が大きく激しく揺れた。

あまりにデカ過ぎる巨体は
妻の視線を完全にブロックしていたようだ。

おかげで、
妻は全然
ライブに集中出来なかったらしい。

(クックック
 (-ι_- ) オモロすぎるぅ。 

ライブでの席選びは慎重に・・・。

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 おしゃべり大好き。・・・
   浪速のエビス顔芸人、兵動大樹がお届けする
   おしゃべり大好き人による
   おしゃべり大好き人のための
トークショー。
※2 佐藤浩市・・・
 
  日本を代表する俳優。父は三國連太郎。
   ザ・マジックアワーの彼の演技は絶品。
   詳しくは「ザ・マジックアワー」をご覧下さい。




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2009年8月16日日曜日

機動戦士ガンダム


お台場・潮風公園に行って来た。

もちろん、目的は実物大ガンダム※1だ。















ゆりかもめに揺られ、
目的地のお台場駅
に向かう。

等身大ガンダムとフジテレビお台場合衆国※2


今年の夏休みはお台場が熱い!!

(むろん、私はどっちも行く!!)


潮風公園までの道中、
制服を着ている兵士も目立った。

(私感だが、ジオン軍がやや有利か??)

潮風公園に入り、
徐々にその全貌が明らかになってくる。

おぉーーーーーーー!!




















高さ18m 重さ35ト
のガンダムは迫力十分。

(実際に、足元で見るとホント巨大だよね。)


ファーストはメ〜テレが制作したので、
愛知県民としては少し誇らしい。

テレビ放映30周年記念ということもあり、
会場には40代男性の姿が目立つ。


ティキューーン ティキューーン

首が動き出すと、会場にとどよめきが轟く。












GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト。

(なかなか、やるじゃない!!)


セレモニーには富野由悠季総監督や、
主人公アムロ・レイの声優 古谷徹さんらが出席。

開催日は8月31日までである。

萌え上がれ ガンダム!!




















ガンダムのコアなファン層は40歳前後。

当然、不況の影響で財布のひもが固くなっている






















企業の方は、手を変え品を変え、
売上を上げることに必死である。

今回のプロジェクト以外にも、
バンダイナムコHD※3は巨費を投ている。

そんなガンダムフィーバーに便乗し、
制作会社サンライズはスタンプラリーを実施。

先着6000人には、ガンダムブロンズ像が・・・。)




















両社とも、どこまで
売上を伸ばすことができるのか?


私の興味は尽きない。

(流行に踊らされるのも、悪くないよね。)

一方、9月末に
鉄人28号の像
神戸市駅前に登場する。


そちらの方も見逃せない。

今、企業やお役所で、
アニメ世代が権限を持ち始めている。


昔と比べ、サブカルへの理解度は
明らかに高くなっている。

新規プロジェクトを軌道に乗せることができるのか?

日本アニメは今、岐路に立つ。
















≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 ガンダム・・・
   サンライズ制作のロボットいや、モビルスーツアニメ。
   名古屋テレビ(現・メ〜テレ)ほかで放映された。

   あまり、熱くなりすぎると周りに迷惑がかかります。
   詳しくは「機動戦士ガンダムSEED」をご覧下さい。
※2 お台場合衆国・・・
   フジテレビ開局50周年記念の一環として、
   2009年夏に開催されているイベント

※3 バンダイ・ナムコHD
・・・
   DVDやガンプラの販売は低迷しており、
   ビジネスモデルの転換を急いでいる。

   ガンダム関連商品の売上は3年連続減少している。
   (2006年度545億円 今年度
見込み360億円)





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2009年8月15日土曜日

ジャングル黒べえ


うらら〜 うらら〜  

ジャングル黒べえ
※1 

うらら〜 うらら〜  

ダダンダ  ダン ダン ダーーーン ♪♪

















夏になると、開放的※1になる。

うっかり、こんな懐メロを口ずさむ。

(あぁ、完全に自分を見失っている。)


毎週のように痛風男と遊ぶサマーバケーション。


ふと、家族サービスをしない自分に気付く。

このままでは、さすがにヤバイ!!

(一応、自覚はあるつもりだ。)


ということで、妻を引き連れ、
富山県の黒部ダムに行くことにした。

黒部ダムと言えば、日本を代表するダム。

関西電力が513億円という巨額な投資をした
日本屈指のダムである。

ちなみに、工事中の死亡者は171人

プロジェクトXでその工事の過酷さを
目の当たりにしていた私。


どうしても、殉職者の慰霊を祀りたかったのだ。















そこで、日本唯一のトローリーバスに揺られ、
黒部ダムを目指すことに・・・。


長野県大町市扇沢より、
北アルプスを横断するアルペンルート

さすが、北アルプス、やっぱり寒い。

冷えゆくバス内、凍てつく身体。

全身の毛は完全に逆立っている。

20分程で黒部ダム駅に到着し、
私たちはトローリーバスを降りた。

標高1,470m、はっきり言ってかなり寒い。

ヒューーーーーっ

突き抜ける冷たい風が私の頬をそっと撫でる。


クゾクゾクっ!!

そこに広がるのは極寒の地。

クガクブルブル ((( ;゚Д゚寒っ))

さすがに、半袖短パンは寒かった。

すかさず、私は
全身を
寒イボで完全にプロテクトした。

(対応は早いほうだ。)

そして、縮み上がる玉袋をほぐしながら、
暗い階段を一気に駆け登った。

長いトンネルを抜ける
と・・・、

ァーーーーーーーーーーー!!

もしや、この音は・・・。
















つっ ついに、憧れの黒部ダムとご対面。


おぅ〜 まさに、圧巻

高さ186メートルあるダムの壁面から噴き出す
放水ショーは見るもの全てを魅了した。

(すっ スゴすぎるぅぅぅ!!)

この毎秒10立方メートルの放水が
日本の高度経済成長の礎になったのである。

(滝に打たれて、武者修行したいぜ!!)


そして、長さ492メートルに及ぶ美しいアーチ。

それは、人間のたくましさ、
力強さを存分に感じさせてくれた。

(よくもまぁ、こんな辺鄙なところに・・・。)

とても、人間技とは思えない。

もしかして、魔法の力?















魔法の力だ  魔法の力だ  魔法の力だ 

ベーあーう あ  っかんこ~ 

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 ジャングル黒べえ・・・
   藤子・F・不二雄原作のギャグマンガ。
   キャラクターの原案は宮崎駿の手により作られた。
   差別的という理由で、近年は再放送されていない。
※2 開放的・・・
   夏は人の心を惑わし、購買意欲を高めるもの。
   詳しくは「ぼくのなつやすみ」をご覧下さい。






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2009年8月9日日曜日

ぼくのなつやすみ


夏になると開放的になる。

ワクワクが止まらなくなるからだ。
















明日は何をしようかな?


海へ山へ、西に東に飛び回る日々。

次から次へと予定を入れて行く。


あっという間に、
7・8月は遊びの予定でいっぱい。

仕事をしている暇がない。

でも、遊ぶためには金もいる。


平日はバリバリと仕事をこなし、
休日は思いっきり遊び倒す。

おかげで、 エキサイティングな毎日を送っている。














でも、ブログを書く時間がないのが玉に傷だ。

昔から、日記を書くのだけが楽しみだった。

夏休み後のジャポニカ学習帳は私の宝物。

(今はどこにいってしまったのだろう。)





















結婚した後も、この気持ちだけは忘れていない。


こんな自分が大好きだ。

そして、この夏また一つ

私は冒険グッズをゲットした。

それが、こちら。














クロスバイク シェーボ(アルミHDブラック)

ついに買ってしまった。

でも、妻になかなか「欲しい」の
三文字をいうことが出来なかった。

何故なら、二台目のクロスバイクだからだ。

今までは、ジャイアント製のクロスバイク。













(こうやって見ると、あんま変わんないなぁ。)

雨ざらしにしていたため、
もうすっかり使い物にならなくなっていた。

ケチな私ですら、
修理して使おうと思えない程に・・・。





















困難が予想される妻との交渉。

私は練りに練ったシナリオで交渉に臨んだ。

(仕事よりも力が入ったことは、言うまでもない。)

私:「最近、太りすぎて体が重いんだよね。」

妻:「そうだよね。ズボン破り過ぎ
※1だって。」

私:「去年から4本だからなぁ。」

妻:「もう、運動しなって。」

(いきなり、良い流れが キタ━━━(゚∀゚)━━━!! )

私:「ジム※2に行ってるんだけど、なかなかね。」

妻:「さすがに、デブり過ぎだって。」

(少し、言い過ぎでは・・・。)

私:「オレもお前に相応しい男にならないとな。」

妻:「そうだね。」

ここで、私は一気に勝負に出る。

私:「これから自転車通勤しようと思ってるんだ。」

妻:「えっ、往復40kmあるけど・・・。」

私:「愛の力があれば、何でもできるって。」

(うーーーん、決まったぜ!!)

結局、アッサリと交渉成立

(ちょろいもんだ。)

ぼくのなつやすみ※3 

もう、ワクワクが止まらない。

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 ズボン破りすぎ・・・
   太ってくるとろくなことがない。
   詳しくは「ハンサム★スーツ」をご覧下さい。
※2 ジム・・・
   生活に運動を取り入れることは大切なことである。
   詳しくは「はじめの一歩」をご覧下さい。
※3 ぼくのなつやすみ・・・
   田舎の親戚の家へ預けられた9歳の「ボク」が、
   夏休みの1ヶ月間、昆虫採集や魚釣りなどをしていくゲーム。

   懐かしいあの少年時代に戻れる素敵なゲーム。
   ゲーム後、冒険に出たくなるのは私だけ??




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2009年8月6日木曜日

富士山(教訓編)


富士登山※1でわかったことが二つある。

1)富士登山はあまり喉が渇かない。
  持って行った2ℓのポカリはほとんど手つかず、
  結局、
2kg荷物が増えただけだった。
  (寒くて、とても飲めません。)


2)Peak A Peakのカッパが大流行。
  私と同じカッパ(オレンジ)を来ていた人が多かった。
  (スポーツデポで安売りしてたからかな?)





















体験しないと、わからないこともあるもんだ。

昇りは7時間半、下りは4時間、
合わせて、約11時間。

過酷だった富士登山も終わって
みると、
なかなかさみしいものだ。

念願の富士山で、記念撮影。




















雨が降っていて、風景も写っていないが、
とても貴重な写真である。

なんてったって、唯一の富士登山写真

途中で、携帯の電源がなくなったのは想定外
だった。

(う~ん、残念。)

しかも、二人ともよそ見をしている。

(ちっ、通りすがりの女め!!)

今さらながら、
デジカメを忘れたことが悔やまれる。

(デジカメの充電はバッチリしてたのに・・・。)

結局、手元にある写真はこれ
一枚。

皆さんに過酷な登山風景を
お伝えることが出来なくて残念だ。

(でも、一番悲しいのはオレなんだよ。)

下界に着いた私たちは、
富嶽温泉「花の湯」に行き、疲れを癒す。

疲れを癒して、ふと気付く。

あっ、妻に電話をしていない。

電源がなくなったため、
痛風男に携帯電話を借り、電話する。


妻:「あぁ、ISOJIN?心配したよ。
   電話つながらなかったから・・・。」


私:「ごめんちゃい

一部では、遭難の噂もあったらしく、
かなり心配していたようだ。

捜索願でも出されて日にゃあ、一大事。

(ちなみに、ヤクはやってないよ。)


でも、妻も
案外かわいいところがある。

(マンモス うれピー!!)














道中、サービスエリアでお土産を買う。

ケチな私のポリシーに反するが、
それもまた良し!!

(妻が喜ぶ顔が見れたら、安いもんである。)

11時30分、ISOJIN邸到着。

(痛風男よ、運転お疲れ サマンサ ターーバサ。)

私は帰るや否や、妻に富士登頂の話を捲し立てた。

・富士登山駅伝が中止になった事。
・暴風暴雨の中で山頂に登った事。
・空気が薄くてすぐに疲れて大変だった事。
・山頂は寒くて、凍え死にそうだった事。
・コーンも入ってないコーンスープがおいしく感じた事。


私が体験したこと、感じたことを、
妻に事細かに聞かせてあげた。

妻:「スゴいじゃん。で、写真ある?」

私:「残念ながら、これしかない
んだよね。」

私はそっと、写メを差し出す。




















妻:「これじゃ、どこかわかんないじゃん。」

私:「雨降ってたからな。」

妻:「ところで、本当に富士山登ったの?」

キラキラしていた妻の目は次第に曇り始めた。

妻:「富士山頂から手紙出してくれた?」

私:「凍え死にそうで、それどころじゃなかったよ。」

妻:「じゃあ、杖は? 杖に焼印は?」

私:「・・・」

悪いことをしたわけでもないのに、
何故か詰め寄られる私。

その時、私は何一つ証拠を
残していない自分に気付いた。

疑惑の眼差し、完全なる容疑者扱い※2

被告席で訴える言葉がむなしくこだまする。

今や、この感動を伝える手段は言葉のみ。

でも、日頃の行いが悪いのか、
この手段ではとても真実とは信じてもらえない。

全くなす術がない。

うぅ、えん罪※3だーーーー!!

いくら、叫んでもその声は妻には届かない。

(オレは本当にやったんだ。やりきったんだぁ。)

出来ることなら、
私の脳みそをかっぽじって見せてあげたい。

(あんなに大変だったのに・・・。)

裁判員制度※4がスタートしたが、
被告席に立つ容疑者に気持ちがよくわかる。

追いつめられるISOJIN。

時刻は深夜1時。

私:「明日は仕事だ。とりあえず、寝よう!!」

文字どおり、泣き寝入りだった。

(くっ くやしすぎる・・・。)

最後に、富士登山の教訓を二つ。

一つ、携帯はバッチリ充電しておくこと。
一つ、何でも良いから証拠を残しておくこと。

                    − 以上 −

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 富士登山・・・
   念願の富士山登頂。
   つらく厳しかったあの日が懐かしい。
   詳しくは「富士山(後編)」をご覧下さい。
※2 容疑者扱い・・・
   プレゼンを行う時、被告人になったと思うのは
   私だけだろうか・・・。
   詳しくは「逆転裁判」をご覧下さい。
※3 えん罪・・・
   電車に乗る時は細心の注意が必要だ。
   詳しくは「それでもボクはやってない」をご覧下さい。
※4 裁判員制度・・・
   2009年8月5日、初の裁判員裁判が実行された。
   裁判所に新しい風が吹いた瞬間だ。
   詳しくは「12人の優しい日本人」をご覧下さい。

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2009年8月2日日曜日

富士山(後編)


五合目に着いてから、最低1時間は体を慣らす。

これ、富士登山の鉄則

いきなり、登ると高山病だ。

実は、私二週間前の御在所登山※1
痛い目に合っている。

何としても、高山病だけは避けたい。


一時間程、ストレッチをして過ごす。

いざ、登頂!!


時刻は、午前4時
 富士登山のスタートだ。

気がつくと、あっという間に六合目。

(あれっ、富士山って、案外ちょろいんじゃないの。)


私の中で、痛風男への疑惑の目が光る。

(痛風男めっ、ビビらせるだけビビらせやがって!!)


登山前日、痛風男はこんなメールを送りつけてき
た。

痛:「昨日また富士登山で死亡者出たね

さすがの私もこれには参った。

こんなメールが来たのが、一回だけではない。

おかげで、登山グッズ※2は完ぺきだ。

(痛風男よ、ありがとう。)


登り始めて50分、
早くも雲行きが怪しくなってきた。

バいっ、積乱雲だ!!

雨粒の間隔が次第に短くなっていく。

痛:「あ~ぁ、誰かさんのせいで・・・。」

(ウルサイわぁ~。)

雨天時の富士山では、早めの対処が必要だ。

何せ、山頂は真夏でも氷点下

早速、私は新調したPeak A Peakのカッパを着る。

(うん、かっこいい。)

自然に鼻歌を口ずさみたくなる。

Singin' ♪ in the Rain ♪♪

こんな調子で登り続け、
7合目に差し掛かったところでご来光。















ありがたやぁ~!!

(実は、この写真はネットから拾ったものです。)


通りすがりの女性に記念写真を頼む。

ハイ、チーズ。 カシャ




















何故か、二人とも明後日の方を向いている。

やっぱり、携帯のカメラは使えない。

(あーぁ、デジカメ持ってこれば良かった。)


気分転換に、携帯酸素(富士さん素)を吸引。

予想はしていたが、全く何も変わらない。

痛風男は「気分が良くなった。」だの、
視界が晴れた。」だの、うそぶいていたけど・・・。

(やれやれ、話半分で聞いておくか。)

8合目に到着すると、
溢れんばかりの人ゴミが・・・。

富士登山駅伝※3の影響だ。

富士登山駅伝とは、登山しながら

駅伝をするという超過酷なスポーツ

自衛隊が多かったのも、

この大会に参加するためだった。

そこへ、バッドニュースが飛び込んでくる。

『暴風のため、駅伝中止

このニュースは登山者に混乱をもたらした。

おかげで、8合目は引き返す人で大渋滞

(この大渋滞を待っていたら、確実に凍え死ぬ。)

そこで、私たちは降りしきる雨の中、
おにぎりを頬張り
体力をチャージ。

下山出来ないなら、頂きを目指す。

名付けて「
引いてダメなら、押してみな」作戦だ。

少し登ると、目の前には気分を悪くして、
吐いている少年が・・・。

私の決断は本当に正しかったのか?

自問自答を何度も繰り返す。

私は立ち止り、痛風男と緊急会議。

痛:「ものすごいことになってるね。」

私:「こりゃあ、さすがにヤバいなぁ。」


私は時計をじっと見つめる。

私:「9時43分、ISOJIN隊、下山!!」

痛:「イエッサー。」

私:「えーーーーーーーーーっ マジで?」

(冗談のつもりだったのに・・・。)

私:「とりあえず、9合目まで行こっ!」

痛:「えっ、なんで?」

私:「あの少年だって登るんだもん。」

そう、先程の少年は吐きながらも
山道を目指し登って行ったのだ。

少年に続き、我らも再び9合目を目指す。

相変わらず、雨は私たちに容赦なく襲いかかる。

吹き付ける山風、突き刺さる雷雨。

冷たい雨は体温をグングンと奪っていく。

9合目にたどり着いた時、二人はさすがにグッタリ。

一方、先程の少年は
父親と今後について真剣に話をしていた。

父:「今日ここで登るのか?明日また登るのか?
   お前が選びなさい。」

(厳しいぃぃぃぃぃーーー!!)

少年は悔し涙を目に浮かべ、
歯を食いしばっていた。

(さようなら、少年。オレの屍は拾ってくれ!!)

同士を失った私たちは失意のどん底に・・・。

再び、私の中で迷いが生じる。

思い浮かぶのは、
大雪山のトムラウシ山の遭難事故

















予備日を設けない強行な日程、
午後から晴れると判断したガイドの誤認、
自然の脅威を甘く見た行動。

我々の行動全てが大雪山遭難事故とかぶる。

このまま登っても、大丈夫か?

どうしても、
不安を拭い去ることが出来ない。

一方で、男のロマンが私を突き動かす。

再び、重い腰を上げ、てっぺんを目指す。

突風にあおられ、雨は下から降ってくる。

もう、隠れる場所はどこにもない。

気を抜くと、風に体ごと持って行かれそうだ。

頂上まであと200m。

案内の看板を発見する。

この200mが、ものすごく遠い。

空気も薄くなっているため、
息切れ・動悸・目眩が激しいのだ。

3歩進んでは休み、また3歩進む。

ちっとも、前に進まない。

土砂降りで視界も悪く、
頂上がどこにあるのかもわからない。

濡れた軍手に包まれた手は
完全に冷え切って感覚が麻痺している。


(壊死してなければ良いが・・・。)


ガンバレ!! ISOJIN もう少し!!

もう、自分で自分を励ますことしか出来ない。

と、そこに鳥居らしき物体が・・・。

浅間大社奥宮の碑である。















っ ついに、頂上だぁぁぁ!!!!

時刻:11時37分。
気温:2℃
標高:3720m (山頂は3776m)
時間:約7時間半

私たちの死闘はついに終結した。

その後、山頂の山小屋で休憩し、
コーンスープ(600円)を疲れた体に流し込んだ。

このスープがウマいことウマいこと。

(コーンは入ってなかったけどね。)

ケチな私だが、命には替えられない。

震える体を懸命に温めていた。

でも、私たちには感慨に浸っている時間はない。

まだ、下山が残っているからだ。

相変わらず、小屋の外は暴風に豪雨。

ぁ、先が思いやられる。

前編に戻る → 富士山(前編)

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 御在所登山・・・
   富士山に登る二週間前、腕慣らしのため登山。
   日頃の運動不足がたたり、大変なことに・・・。
   詳しくは「もののけ姫」をご覧下さい。
※2 登山グッズ・・・
   富士山は装備がものをいう。
   事前の準備は欠かせない。
   詳しくは「富士山(準備編)」をご覧下さい。
※3 富士登山駅伝・・・
   富士山の麓と山頂を往復する駅伝。
   御殿場口登山道と下山道
を利用し、8月第1日曜日に開催。
   参加申し込みはこちら → 御殿場市HP

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富士山(前編)


深夜二時、私たちは富士宮グリーンホテルを出発した。

ついに、富士登山に挑戦の時が来たのだ。

震えるつま先、高鳴る鼓動。

私は期待に胸を膨らませ、
タクシーの後部座席で物思いにふける。

(あぁ、苦節三十年、ようやくこの日がやって来た。)

でも、感慨に浸っている時間は、
そう長くは続かなかった。


運転手さんが手厚くお迎えしてくれたからである。

運:「今年は五合目まで歩いている人が多いなぁ。」

私:「不景気の影響ですかねぇ。」


運:「間違いなく、リーマンショックの影響だね。」

私:「そっ そっ そうなんですかぁ?」


運:「富士山も歩いて、なくなってるかもしれないよ。」


私:「そんなぁ~、困りますよぉ。」


(なかなか、オモロいおっちゃんだ。)

こんな調子で約1時間、
運ちゃんのトークは途切れなかった。

















五合目付近は路上駐車の嵐。

駐車スペースは全く残されていなかった。

(やはり、痛風男の選択は正しかった。)


駐車場の一角には、縄で仕切られたところがあった。

そう、先日の落石事故の現場である。















そのせいか、自衛隊の人たちの姿を多く見かけた。

ふと、私の脳裏に忌々しい記憶が甦る。

私:「第7サティアン※1ここら辺でしたっけ?」


運:「えぇ、山梨県の河口湖の近くですけどね。」

私:「
確か、ガリバー王国になったんですよね。」

運:「はい、でも今はもうないですけどね。」














富士山麓にオーム鳴く (2.2360679)
 ※2

(あぁ、受験戦争が懐かしい。)


富士山のふもとで√5を思い出す。

それもまた趣がある。
 (いと、おかし。)

きっと、今ではこの覚え歌も変わっていることだろう。

富士山麓にオウム無く












続きは → 富士山(後編)

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 第7サティアン・・・
   一般的に化学兵器精製プラントだったと言われている
   某教団の施設。
※2 富士山麓にオーム鳴く・・・
   √5(2.2360679)の覚え歌。
   「富士山麓に」とあるが、「に」は省いて考えなければならない。


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