前編よりお楽しみ下さい。 → 「お茶にごす。」
命からがら、シダックスから逃げ出した私たち。
逃げ込んだ先は、ビニール男邸。
ビニール男邸??
そう、あのビニール男が、
ついに一国一城の主※1になったのだ。
男なら、誰しも憧れる夢のマイホーム。
ビニール男は、
早くも人生の目標の一つを手に入れたのだ。
(うぅ、羨ましいぜ。)
一方、私はというと、約10年で4度の引っ越し※2。
相変わらず、賃貸生活爆心中だ。
一向に、落ち着く気配がない。
(そういえば、通信簿にも「落ち着きがない」って書かれたっけ・・・。)
引っ越しを繰り返すと、
家を見る目が肥えてくるのが玉に傷だ。
引っ越す度に、家賃は高くなっていく。
景気は落ち込んでいるのに、
私の家賃だけはうなぎのぼりである。
(そりゃあ、貯まるものも貯まらないな。)
オレも、いつかはマイホーム。
小さい頃から、
漠然とそんな夢を持っている。
渡辺篤史ではないが、私は家が大好きなのだ。
暇さえあれば、住宅展示場に入り浸る程だ。
ということで、ビニール男邸探訪。
時々遠くを見つめる 不安そうな貴方の横顔~♪
言葉と心の間 それは君しかわからない~♪
エントランスには、石の庭やソファーがあり、
超豪華な仕様となっている。
部屋は、白と茶色を基調とした
シンプルモダンで、とてもオシャレな雰囲気。
(あぁ、引っ越したくなってきた。)
遡ること二ヶ月前。
金八会の企画会議の席のことだった。
ビ:「昨日、マンション見学会に行ってきて・・・。」
ビニール男のまさかの告白に、
私と痛風男は大興奮。
私:「えっ、家買うの?」
痛:「どこどこ?場所はどこ?」
もう、金八企画のことは頭にない。
すぐに、脱線するのが私たちの悪い癖だ。
ビ:「別に、買う気はないんだけど・・・。」
(自分から話し出したくせに、じらしやがって。)
私:「で、どこら辺なの?」
ビ:「とにかく、場所がスゴく良いんだよね。
なんと、某ショッピングモール徒歩○分。」
痛:「すごいじゃん。」
私:「ちなみに、何階なの?」
ビ:「それが、最上階なんだよ。」
私:「えーーーーー!!」
痛:「でも、高いんちゃうの?」
ビ:「それが、○○千万円なんだよね。」
私:「ウッソーーーー!!」
痛:「じゃあ、この物件買いじゃねぇ。」
ビ:「でも・・・。」
ビニール男は、どうも乗り気ではない様子。
一方、質問攻めを浴びせる痛風男。
痛:「もしか、ここから夏の花火大会が見えるとか?」
ビ:「それが、バッチリ見えるらしい。」
私:「マジで?じゃあ、これで特等席は確保だね。」
痛:「もう、買うしかないじゃん。」
ビ:「うーーーーーん・・・。」
執拗に売り込みを始める痛風男。
もう、不動産屋の回し者としか思えない。
(はたして、バックマージンはいくらか?)
そんな回し者に、思わぬ援軍が味方する。
なんと、ビニール嫁だ。
嫁:「実は、私このマンションに運命感じてるの♥」
全:「・・・。」
ビニール嫁の目は、完全にハートマーク♥。
まさかの、三角関係。
ビニール男に、強力なライバルが出現した。
相手はヒトではなく、なんとモノ。
嫉妬の炎が、メラメラと音を立てて燃え上がる。
(これが、世に言うジェラシーってやつか。)
私たちは歴史の目撃者となった。
ただならぬ雰囲気を感じ、
私は痛風男とアイコンタクト。
ハプニング好きの私たちも、
さすがにこれには困った。
「ちょっと、やばくない???」
夫婦喧嘩は犬も喰わない。
とんだ所に出くわしてしまった。
痛風男は何も言わなかったが、
おそらく、私と気持ちは同じだったに違いない。
しばし続いた、膠着状態。
ついに、ビニール男はその重い口を開いた。
ビ:「オレとマンションどっちが大切なんだ!!」
逆上したビニール男は、
嫁にむかって啖呵(たんか)を切った。
嫁:「じゃあ、離婚だね。」
ビ:「・・・。」
シーーーーーーーン・・・。
一週間後。
ビニール男は一国一城の主となっていた。
(決断、早っ!!)
恋に敗れた悲しい男の末路だった。
≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 一国一城の主・・・男たるもの、城を構えてなんぼである。
そんなISOJINは、無類の城マニア。
詳しくは「戦国BASARA」をご覧下さい。
※2 引っ越し・・・
引っ越しが多いと余計なことを考えるようになる。
あぁ、安物買いの銭失い。
詳しくは「サマータイムマシンブルース」をご覧下さい。
※3 渡辺篤史の建もの探訪・・・
俳優、渡辺篤史が司会を務める住宅紹介番組。
施主や設計者の意図・思想に踏み込んだ
コメントには定評があり、とても親しみが持てる。
(注)ISOJIN Blogは架空の物語です。過去、あるいは現在において、たまたま実在する人物、団体、出来事に類似していても、それは偶然に過ぎません。
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