深夜二時、私たちは富士宮グリーンホテルを出発した。
ついに、富士登山に挑戦の時が来たのだ。
震えるつま先、高鳴る鼓動。
私は期待に胸を膨らませ、
タクシーの後部座席で物思いにふける。
(あぁ、苦節三十年、ようやくこの日がやって来た。)
でも、感慨に浸っている時間は、
そう長くは続かなかった。
運転手さんが手厚くお迎えしてくれたからである。
運:「今年は五合目まで歩いている人が多いなぁ。」
私:「不景気の影響ですかねぇ。」
運:「間違いなく、リーマンショックの影響だね。」
私:「そっ そっ そうなんですかぁ?」
運:「富士山も歩いて、なくなってるかもしれないよ。」
私:「そんなぁ~、困りますよぉ。」
(なかなか、オモロいおっちゃんだ。)
こんな調子で約1時間、
運ちゃんのトークは途切れなかった。
五合目付近は路上駐車の嵐。
駐車スペースは全く残されていなかった。
(やはり、痛風男の選択は正しかった。)
駐車場の一角には、縄で仕切られたところがあった。
そう、先日の落石事故の現場である。
そのせいか、自衛隊の人たちの姿を多く見かけた。
ふと、私の脳裏に忌々しい記憶が甦る。
私:「第7サティアン※1ここら辺でしたっけ?」
運:「えぇ、山梨県の河口湖の近くですけどね。」
私:「確か、ガリバー王国になったんですよね。」
運:「はい、でも今はもうないですけどね。」
富士山麓にオーム鳴く (2.2360679) ※2
(あぁ、受験戦争が懐かしい。)
富士山のふもとで√5を思い出す。
それもまた趣がある。 (いと、おかし。)
きっと、今ではこの覚え歌も変わっていることだろう。
富士山麓にオウム無く
続きは → 富士山(後編)
≪イソジンのよく解る用語解説≫
一般的に化学兵器精製プラントだったと言われている
某教団の施設。
※2 富士山麓にオーム鳴く・・・
√5(2.2360679)の覚え歌。
「富士山麓に」とあるが、「に」は省いて考えなければならない。
(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。
0 件のコメント:
コメントを投稿