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2009年10月31日土曜日

大道芸ワールドカップ in静岡2009


11月になると、私の体は熱く滾
(たぎ)る。

何故なら、大道芸ワールドカップ
開催されるからだ。


大道芸ワールドカップとは、

大道芸の世界一を決めるイベントだ。

実は、私 毎年
この大会の審査員を務めている



(う〜ん、少し語弊があった。)

チャンピオンは、観客である我々が決めるのだ

そう、投げ銭によって・・・。

ルールはいたってシンプル。


1,000円持っていたとしたら、
この演技にいくら払う
(価値がある)のか?

もちろん、タダ見するのも自由である。

ちなみに、芸に厳しい私は、
なかなか簡単に得点を入れやしない。


(実は、ただ単にケチなだけ・・・。)

いつものように、

一緒に行くメンバーは痛風家族である。


まずは、公式ガイドブックを購入。




















それぞれ、自分の見たい芸人を選び抜く。

昨年の失敗※1を踏まえ、

ナイトショーと被らないように意する。

ちなみに、ナイトショーのメンバーはこちら。


<プレミアムナイトショーメンバー>
☆2008年度ワールドチャンピオン☆ 
誰もが息をのむロシアンバー

カナコフ(ロシア)












☆2007年度ワールドチャンピオン☆ 

エネルギッシュなコメディショー
ニーニョ・コストリニ(アルゼンチン)























☆2006年度ワールドチャンピオン☆
変幻自在のボールジャグラー

アラン&エディタ・シュルツ(チェコ)

























コメディアクロバットデュオ
ポパイ(オーストラリア)




















奇想天外なコメディパフォーマンス
サンキュー手塚(日本)



















スピード溢れるクールなジャグラー
クラウディウス・シュペヒト(スイス)

 














 


そして、司会は脅威のシャベラー
三雲いおり(日本)である。















いずれ劣らぬ、強者ども。

もう、ワクワクが止まらない。

ナイトショーのアーティスト以外から、
自分のお気に入りを選出する。

我らの審査基準は只一点。



芸をいかに見せるか?

芸が優れているのは当たり前。

重要なのは、その演出方法
※2である。

我々から得点(投げ銭)が欲しければ、
笑いやユーモアのセンスは不可欠だ。

そんな我々が選んだ、

選りすぐりアーティストをご紹介しよう。


:紳士な顧客イジリ 
  フレイザー・フレイパー(イギリス)
 

















:驚愕アーチェリーパフォマンス
プリンセス・エレイン(メキシコ)

 

















:とぼけた笑いのパフォーマンス
  ウーシュ・マ・ウーシュ(ウクライナ ※ 風邪のため欠席















 

:パントマイムなモヒカン野郎
  くるくるシルク(日本)













自分が選んだ芸人が、
チャンピオンになった時の喜びは格別だ!!

特に、痛風嫁の
気合いは凄まじい。

嫁:「絶対、くるくるに投げ銭するよぉぉ!!」


(もちろん、くるくるのHPもチェック済だ。)


くるくるシルクのベスポジを確保すべく、
その前の演目からスタンバる私たち。

そこで、思わぬ事態に遭遇することになる。


「”Oui" フォーリンラブ。」事件。















 


(どこかで、聞き覚えのある名前だ。


フォーリンラブとは、
フランス人男性のミシェル
日本人女性のトモコのユニット(二人組)

空高くそびえるポールを使って、
空中を鮮やかに舞うアクショ
ンショー。


なかなか迫力溢れる舞台である。

その演目中に、事件は起こった。

(姉さん、事件です!!)


7mの高さから、地面めがけて落ちるミシェル。

その勢いは加速し、緩むことなく・・・、

地面に真っ逆さま


キッ!!


 

その後、悲しげな音楽とともに、
トモコが静かに歩み寄る。


な~んだ、演技だったのか。


と思ったのも束の間、

なんだか、様子がおかしい。


顔面から赤い血を噴き出し、

ミシェルはまったく動かない。

そこに、くるくるイエローが飛んで入る。

騒然とする場内。

ザワ ザワ ザワ・・・。


「救急車、救急車 呼んでぇ!!」


スタッフの叫び声がこだまする。

遅れて、MCが会場に呼びかける。

ここで、私はようやく事態の深刻さに気付いた。

懸命に看病を
続けるトモコ

それに応えようと、
必死に笑顔を作るミシェル。

二人の絆の深さを感じさせられた。

救急車に運ばれる時も、
ミシェルは客に親指を立てていた。


(中指じゃないよ。)

その姿は、まさにターミネーター


I'll be back!!(また、戻るよ!!)

私はその姿勢に、感動すら覚えた。


その後に登場したくるくるシルクも
会場を盛り上げようと必死だった。

まさに、
芸人魂


そんなくるくるの姿を見て
痛風嫁の目は完全にハートに・・・。

そんな彼らと記念撮影。 ハイ チーズ カシャ
















(うん、みんな良い顔している。


その後、軽く昼食を済ませ、
それぞれの見たい演目を見て回る。

夕方4時、残すところは
プリンセス・エレインのみ。

我が妻、一押しの演目である。

すると、パンフレットを眺めていた
痛風男が急に自己主張をしはじめた。

痛:「加納真実 見たい・・・。」














 


(あっそう。)

ちなみに、痛風男は
いわゆる、一つのキカンボウ

一度決めたら、
意見を変えることは決してない。

痛:「いいじゃん。
これ(プリンセス・エレイン)
   つまらなそうじゃね?」

その目は、自信に満ちあふれている。

しかも、その手口は、けっこう強引

どうやら、二年前のステージで、
すっかり
加納真実のになったようだ。

(付き合っちゃえば、いいのに・・・。)


こうなってしまったら、
彼の意見を変えることはほぼ不可能。

妻は自分の気持ちをグッとこらえていた。

(妻よ、つまらぬ友を持った私を許してくれ!!)

なんやかんやあったが、
今年の大道芸も大いに楽しむことが出来た。

ファイナルステージでの
チャンピオン発表が待ち遠しいものだ。

3日後、痛風男から驚愕のメールが届いた。

痛:「チャンピオンは・・・、
   まさかまさかのプリンセス・エレイン。」


















痛風男に阻止され、
見ることが出来なかった演目である。


風男よ、お前の目は節穴か!!


≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 昨年の失敗・・・
   事前に調べていなかったために、
   何度も同じショーをみることになった
   大道芸ワールドカップ2008年大会。
   詳しくは「大道芸ワールドカップ」をご覧下さい。
※2 演出方法
・・・
   表現の仕方次第で物事は劇的に変わるものである
   詳しくは「旭山動物園物語」をご覧下さい。

(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。

2009年10月17日土曜日

旭山動物園物語 〜ペンギンが空をとぶ〜


昨年から始まったどうでしょうの旅
※1

どうせ、北海道に行くならば・・・、

旭山動物園
にはぜひ行きたい!!

昨秋、私は何度も何度も主張した。

それなのに・・・。

私の意見は、完全に無視されたのである。

ちなみに、今年の幹事は我が夫婦。

なんとしても、行かねばなるまい!!

ということで、
念願の旭山動物園にやってきた。




















旭山動物園とは、
北海道旭川市にある日本最北の動物園。

当然、営業時間は他の動物園と比べて少ない。

それにも関わらず、全国二位来場者数。

(上野動物園の次ね。)

これは、奇跡
である!!

ちなみに、今年の開演期間は10月18日まで。

(ギリギリセーフだ。)

首を長くして待った旭山動物園














やっぱり、話題スポットは体験してみたい!!

モノより体験。
大切なものは、プライスレス


お金では計れない価値がある。

まずは、もぐもぐタイム(食事時間)を確認し、
観覧ルートを吟味する。

まず、始めに向かったのは、チンパンジー館。




















飼育員による懇切丁寧なワンポイントガ
イド

この話が、案外ためになる。


ガイドによると・・・、

客が発するある言葉
飼育員を憤慨させるらしい。

その言葉とは・・・、

「かわいいーー!!
 ヽ(´w)ノ




















っ???

(意味不明なんですけど・・・。)

飼育員は、動物の魅力が伝わっていない。


そう、感じるらしいのだ。

本来、野生動物とは恐ろしいものである。














飼育員は恐ろしいはずの動物を見て、
「かわいい」と言われるのが我慢ならないのだ。

動物たちの本質を少しでも伝えたい!!

そんな発想から始まった行動展示




















今では、旭山動物園の代名詞である。

見所が満載過ぎて、もう目が離せない。














動物の魅力が一番伝わるように
考え尽くされた展示方法。

海外での評価も高いらしい。
















同じ日本人として、とても誇らしい。

見せ方一つで、ここまで変わるのだ!!

やっぱり、脳みそは使わないとね。















でも、こんなかわいい動物たちに
まったく目を向けないホモ・サピエンスが一匹。

そう、痛風男である。

痛風男は、自慢のカメラで写真を撮りまくる。

そのファインダー越しには、の姿が・・・。
















私の一挙手一投足を撮影する痛風男。

激写した写真は、ゆうに300枚

しかも、写真だけでは飽き足らず、
ビデオでも撮影しまくった。

その映像を見て、園内の片隅で一人ほくそ笑む。

痛風男の至福の一時である。

痛風さんよ。

ただ、撮るだけではなく、
編集の方もよろしく頼みますゼ!!

もちろん、見せ方にも一工夫を・・・。

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 どうでしょうの旅・・・
   笑って泣ける楽しい冒険の旅

   詳しくは「水曜どうでしょう①」をご覧下さい。
※2 旭山動物園物語・・・
   廃園寸前の動物園を復活する過程を描いた映画。
   (監督:マキタ雅彦 主演:西田敏行)





(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。

2009年10月16日金曜日

風のガーデン


あなたは自分が死ぬとわかった時、

いったい、何をしますか?


死を宣告された後の人生の選択。

私は、余生という言葉はあまり好きではない。

余った人生などないと考えているからだ。

でも、限りある時間を
有効に活用したいものである。

ういう意味で、
死と向き合うことは大切だ。


今まで、私は物事を選択する際、
一つの判断基準のみで判定していた。

それは・・・、

「オモシロいか?オモシロくないか?」

昨年、「風のガーデン」というドラマを見て、
少し考え方が変わってきた気がする。













「本当に大切なものは、何なのか?」


家族の存在の大きさというものを、
大いに考えさせられた。


緒形拳さんの遺作にもなったこのドラマ。




















主人公の生き様が、緒形拳さんと重なり、

とても反響をよんだドラマでもある。

ストーリーを大まかに言うと、こんなかんじ。


末期ガンにおかされた主人公(中井貴一)が、
勘当されていた実家に戻り、

(黒木メイサ)と息子(神木隆之介)に会うというものだ。














その中で、緒方拳さんが演じたのが
主人公の父親役である。

息子をガンで亡くすという役柄を、
自らガンと闘いながら、演じきった緒方拳さん。

とても良い表情をしていたのが、
印象に残っている。

そんなドラマのロケ地であるガーデンが、
新富良野プリンスホテル(富良野市中御料)にあるという。

これは、是が非でも行かねば・・・。

ということで、風のガーデンにやってきた。


ガーデンはドラマ終了後とい
うのに、
きれいに管理されていた。

でも、せっかくガーデンにやって来たのだが、
中には入ることが出来ない。

なんせ、有刺鉄線(電流入り)が周囲を取り囲んでいる。


ここに入れるのは、大仁田厚
※1くらいなもんだ。


















間隙を縫って中に入ろうとする私に、
痛風男が必死になって制止した。

痛:「感電死するかも
よ。」

私:「確かに。」

こんなところで、
電流爆破デスマッチをしても仕方がない。


残念ながら諦めたが、
禁止されたらやりたくなるのが本能だ。


「入るな!入るなよ!またぐなよこら!

 またぐな。またぐなよ。」















(ある意味、大仁田厚だな。)

ふと、ガーデンの中を見ると、
妻と痛風嫁がご機嫌な顔して歩いている。


妻:「おーーい、こっち側に入り口あるよーー。」

私:「あっ そう。」

ガーデンの裏に回ったところに、
入り口があったようだ。

(一人でデスマッチ繰り広げていた自分が恥ずかしい。)

ついに、憧れのグリーンハウス














でも、抱いていたイメージと何かが違う。

建物の扉には、てんとう虫やらカメムシ

大量に張り付いているのだ。

うぅ、気持ち悪い。

そんな気持ちを押し殺し、建物の中に潜入。

そこには、ドラマのセットがそのままに・・・。















せっかくだから、
これらの小道具を使って寸劇をしてみる。

(相変わらず、アホの集まりだ。)


タイトルは父の遺言 2009」。

家族愛をテーマにした寸劇だ。

私は、盲目の老人という設定。

生き別れていた娘(役者:妻)最後の言葉を託し、
ロッキングチェアに揺られながら、
永遠の眠りに入るという重要なシーンである。

自分で言うのもなんだが・・・、

大いに泣ける作品になったと思う。

(一体、何やってんだか・・・。)

ちなみに、この模様はすべて ビデオに収めている。

今から、上映会が楽しみである。

しかも、今回はハイビジョンによる撮影。

(痛風さんよ、編集は頼んだぞ!!)

一通り小芝居を終え、小屋を出る

そこへ、管理人と思しき人がやって来た。












危なかった。


もう少し早かったら、
大根役者ぶり※2を見られるところだった。

良かったね、痛風嫁さん。

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 大仁田厚・・・
   プロレスラー、FMWの創設者であり政治家

   炎のダイエッターであり、50kgの減量に成功している。
※2 大根役者ぶり・・・
   大根の根が白いことが語源。→ 素人(しろうと)。
   そこから、演技が下手な人のことを言うようになった

   詳しくは「水曜どうでしょう②」をご覧下さい。
※3 風のガーデン・・・
   フジテレビ開局50周年記念ドラマ。
   緩和医療を題材にしたテレビドラマ。
   脚本:倉本聰。






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2009年10月15日木曜日

北の国から


最近、僕は遊びまくっており、
妻を放ったらかしにしていたわけで、
でも、明らかにこの状況はマズいと思われ・・・。




















北海道へ行って来た。

(別に罪滅ぼしじゃないよ。)

妻は、私が遊び人であることは百も承知。

小さなことを気にしていては、
私なんかと一緒にはとても暮らせません。


マジで・・・。

掌で転がせるくらいの大きな度量が必要だ。














実は、見かけによらず、
我が妻、結構たくましい女性なのだ。

ちなみに、今回の旅行は痛風嫁も同席する。


私と二人きりで行くより、

みんなで行った方がオモシロいらしい。

(う〜ん、ちょっぴり複雑な気分。)

痛風嫁が来るということは・・・、

当然、その旦那、痛風男もくっついてくる。

(いい歳こいて、ホント会い過ぎである。)

空港に着くや否や、
痛風男はダメ人間ぶりを存分に発揮する。


北の大地 北海道に行くと言っているのに、
トレーナーを忘れてくる始末。

(結局、ユニクロ空港店でパーカーを購入。)

まったく、やる気が感じられない。

これでは、モリ突き※1の時と同じである。

今回の旅は、3泊4日の見所満載のコース。

旭山動物園では動物と戯れ、
富良野・美瑛では五郎さんの家と戯れ、
小樽では海の幸三昧という贅沢なプラン。

もちろん、妻や痛風嫁が大好きな
OFFICE CUE(大泉洋の所属事務所)関係も忘れていない。












車の運転は、サイコロで決めるという・・・、

いわゆる、サイコロの旅




















この不景気の中、有給休暇を二日も消化。

(いやぁ、休みづらいこと、休みづらいこと。)

でも、いつ死ぬか、わからないこのご時世。

やりたいことは、
全部、やっておかないと・・・。
















千歳空港に着く頃には、
私の浮かれ気分は加速していた。

慣れない五郎さんのモノマネを連発。

「ホタルぅ〜。」





















普段、モノマネなどやったことのないこの私がだ。

みんなの白い目もおかまいなし。

完全に、浮かれているとしか言いようがない。

しかも、ドラマは「2002遺言」しか
見たことがないのに・・・。












見よう見真似のモノマネ。

おそらく、誰かのモノマネのモノマネ。

(たぶん、小堺一機さんかな??)

だから、原型がまったくない。

当然、似てるはずもない。

こんなチンケなモノマネで盛り上がる
我らがどうでしょう班。

(倉本聰さんにはホント申し訳ない。)

一体、どんな旅が我々を待ち受けているのか?

今後の展開に、乞うご期待!!

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 モリ突き・・・
   篠島でのモリ突きで痛風男は肝心なモリを忘れて来た

   詳しくは「いきなり!黄金伝説。」をご覧下さい。
※2 OFFICE CUE・・・
   北海道の芸能プロダクション

   もちろん、社長はミスターこと、鈴井孝之さん。
   詳しくは「ドスバラ鈴井の巣」をご覧下さい。
※3 北の国から・・・
   北海道富良野市で暮らす家族の物語。
   制作はフジテレビジョン、脚本は倉本聰。





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2009年10月10日土曜日

走れメロス(後編)


前編をご覧になっていない方は、
前編よりお楽しみ下さい。 → 走れメロス(前編)


ダイヤモンドヘッドの麓(ふもと)に辿り着いた私。

目指すは、当然てっぺんだ。

門番の制止を振り切り、

6時の開門と同時に走り出す。

どうせなら、一番に頂上に登りたい!!

そこに、またまた行く手を阻むは、新手の門番。
















門:「One dollor please!!」

私:「Why?」

どうやら、入山料がかかるらしい。

(こういうことは、先に言っといてくれよ。)


私:「I have no money. Please Please!!」

門:「No!!

(そんな怖い声で言わなくたって・・・。)


私は海外では、カードしか持たない主義である。

当然、現金など持ち合わせていない。


(やばい、ここまで来て撤退か・・・。)


額には大量の汗がにじみ出す。

必死になって、あるはずもない紙幣を探す。

私は海外用の財布に一縷(いちる)の望みをたくす。

すると、3枚のジョージ・ワシントン※1を発見。










いつぞやの旅行の残金である。

(助かったぁ。)

でも、たかが山登りに金をとるとは
ダイヤモンドヘッドもえげつない。

(1ドルぽっちでも、オイラにとっては大切さ。)

変なところで足止めを喰らってしまった。

先を急がねば・・・。


ダイヤモンドヘッドはオアフ島の休火山。

いつ、また爆発するかわからない。

そんな恐怖と向き合いながら、
我々はひたすら山道を駆け抜ける。


山を登る前に、ツアーガイドから
こんな話を・・・。

19世紀、イギリスの水夫たちが
石灰岩をダイヤモンドと間違えたのが、
この山の名前の由来らしい。


こんな夢物語(?)を聞いていたの
で、
私は期待で胸いっぱいだった。

が、近くに来るとそうでもない。


単なる赤い土の塊だ。

でも、もしかしたら・・・。


と、
ギュッと目を凝らして探してみる。

さっきの1ドルの、元だけは取らないと・・・。

(どこまでケチなんだ。)


案の定、ダイヤらしき物体はどこにもない。

(当たり前か・・・。)


おっと、そんなことをしている場合じゃない


是が非でも、日の出までには頂上に登らねば・・・。

そう、富士登山リベンジ※2だ。

標高232mのダイヤモンドヘッド。


富士山に比べたら、大したことはない!!

山頂までの道のりは0.7マイル(約1.1km)。

1時間程で登れるらしいが、
そんな悠長なことは言ってられない。


日の出予想時刻は6時半

なんとしても、30分で登りきる!!


今の私にとっては壮大な目標。

体内では早くも、乳酸が溜まり始めている。


そんな私を尻目に、同僚は走り続ける。

同:「すみません。先に行きます。」

(置いていくんか~い!!)


同僚の足取りは思いのほか軽かった。

ちなみに、ダイヤモンドヘッドはゆるやかで、
くねくねとしたコースである。














トレッキングには、ちょうど良い。


しばらく行くと、
目の前に階段がそびえ立つ。















ふと、手すりを持つと、妙な違和感が・・・。

右手を見ると、ベットリと
さびが・・・。

おおおおーーーー!!

さびは、吹き出した汗と混ざり合い、

鮮やかな赤へと変化を遂げていた。


んじゃこりゃぁーー!!












これでは、とても手すりを掴めない。

この巨体を二本の足だけで支えるのは、
さすがにキツい!!

階段を昇りきると、トンネルが表れる。














このトンネル、とにかく先が見えない。

その上、とても狭いのだ。

かがまないと、頭をゴツンとぶつけそう。

徐々に感じる頂上への気配。

私の足取りも次第に軽くなる。

薄暗いトンネルを抜けると、
そこにはさっきよりも長くて急な階段が・・・。





















もう、勘弁してくださいよぉーーーー。


五臓六腑が悲鳴を上げる。

心の臓は今にも飛び出しそうだ。

そんな私に容赦しないのが、

ダイヤモンドヘッドのスゴさである。

さらに、らせん階段が私を待ち受ける。














私の腿の筋肉は、今にも引きちぎれんばかりだ。

標高232mの山を完全に舐めていた。

ダイヤモンドヘッドは
そんな私に牙を剥いたのだ。

暗闇を抜け、いよいよ、頂上の展望台。

最後の階段だ。






















同僚はてっぺんで両の手を広げ、私をお出迎え。

同:「ISOJINさん、間に合いましたよ。」

太陽は・・・。

かろうじて、まだ登っていなかった。

間に合ったぞぉーーーーーー!!


360度の大パノラマが広がる絶景で、
私は声の限りを尽くし叫んだ。

すると、太陽が東の空からお出迎え。
















疲れは吹っ飛び、頭は空っぽ。

とても爽快だ。


この感動を、全ての人に届けたい。

(父さん、母さん、生んでくれてありがとう。)

でも、私には感慨に浸っている時間はない。

これから急いで下山し、
ホテルで朝食を食べなければならない。

(食への執念だけは、凄まじいのだ。)

朝食のタイムリミットは午前11時。

しかも、移動手段はこの足のみ。

走れ! ISOJIN。

≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 ジョージ・ワシントン・・・
   アメリカ合衆国初代大統領

   桜の木を切り倒したことで、一躍有名になった。
※2 富士山リベンジ・・・
   念願の富士山で日の出を見逃したISOJIN

   詳しくは「富士山(前編)」をご覧下さい」。



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