ISOJINは激怒した。
台風18号※1が私の行く手を邪魔したからだ。
せっかくのハワイ社員旅行。
台風なんぞに邪魔をされたくない。
だが、午前のフライトは全て欠航。
当然、午前の仕事は全てキャンセル。
名鉄が不通のため、私は自宅待機となった。
社内に漂う不穏なモード。
そして、私は自分の雨男ぶりを嘆いていた。
(いつものことだが・・・。)
そんな気持ちを、神様も察知したのだろう。
午後から、セントレアは復旧し始めたのだ。
よっしゃぁぁぁーーー!!
d(∇≦) (≧∇)b
(これで、ハワイに行くことができる。)
セントレアに着くと、
人がわんさと溢れかえっている。
(午前の便がずれ込んだからなぁ・・・。)
と、思っていたらそこには、
なんと、ゆずが・・・。
こっ これは、ついている。
(ゆずっこでは、ないんだけどね。)
なんやかんやとあったが、
ついに私はハワイにやってきた。
アローハーーーー!!
(何度、この言葉を口にしただろう・・・。)
完全に浮かれまくっている私。
南国リゾートの楽しみが
すべてつまった極上の常夏パラダイス。
1秒たりとも、ムダにしたくない!!
だから、私は走った。
朝4時に起き、ダイヤモンドヘッドを目指す。
ハワイと日本の時差は19時間。
時差ぼけのため、完全に寝ぼけ眼だ。
でも、そんなことは関係ない!!
路行く人を押しのけ、跳ねとばし、
ISOJINは黒い風のように走った。
共に走る同僚の後ろ姿を、
必死に追いながら・・・。
ダイヤモンドヘッドまでの距離は約5km。
ワイキキビーチのまっただ中を駈け抜け、
散歩する人たちを仰天させ、
空き缶を蹴とばし、水たまりを飛び越え、
少しずつ昇りくる太陽の、十倍も早く走った。
すべては、ダイヤモンドヘッドから
日の出を見るために・・・。
薄暗い夜道を手探りで駆け抜ける。
そこには、なんの迷いもなかった。
走り始めて40分、時刻は午前5時12分。
私たちは完全に迷っていた。
名も知らぬ小学校のグランドで、同僚と緊急集会。
私:「ダイヤモンドヘッドがなくなった。」
同:「なんか、なくなっちゃいましたね。」
近すぎて見えないとは、このことだ。
途方に暮れるマラソンマン。
道を尋ねる人などどこにもいない。
一刻といえども、無駄にはしたくない。
太陽は今にも空から顔を出そうとしている。
焦りを隠しきれない私たち。
と、そこにガソリンスタンドを発見。
助かったぁぁぁ!!
私はスタンドマンにつたない英語で話しかけた。
私:「Diamond Head Doko?」
(完全に日本語だ。)
スタンドマンはこんなアホな日本人に
懇切丁寧に説明してくれた。
ス:「right left right」
ダイヤモンドヘッドはすぐそこだった。
時刻は午前5時37分。
日の出にはなんとか間に合った。
ここから、いよいよダイヤモンドヘッド登山だ。
急いで登ろうとすると、
屈強な男が我々の行く手を阻む。
ダイヤモンドヘッドの門番だ。
門:「No No!!」
私:「Why?」
門:「Open six o'clock.」
どうやら、6時に開門するようだ。
(もしや、日の出に間に合わないかも・・・。)
せっかく、走って来たのに・・・。
でも、急いで登れば、
まだ、山頂で日の出を拝むことが出来るらしい。
スタートは午前6時。
走れ!ISOJIN。
続きは → 走れメロス(後編)
≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 台風18号・・・伊勢湾台風並みの強い勢力をもった台風。
甚大な被害を及ぼす台風だが、
決して、悪いことばかりではない。
詳しくは「涼宮ハルヒの憂鬱」をご覧下さい。
※2 走れメロス・・・
太宰治、中期の小説。
親友のセリヌンティウスを助けるために
メロスが全力疾走する友情の物語。
(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。
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