
ここはどこだろう。

町はなんとなく異様な雰囲気に包まれている。
まずは、住民たちから聞き取り調査だ。

聞き込みを始めると、
住民たちは喜んで話をしてくれた。
何故か、私はこの町ではとても人気者だったのだ。
証拠写真があるので、お見せしましょう。
「喉が渇いた。」と言えば、
ご婦人がスッとミルクを入れてくれる。

帰ろうとしても、なかなか帰らせてくれない。

しまいには、美しいご婦人から熱い抱擁を・・・。

この町の住民の出迎えは相当手厚いものだった。
これくらい当然さ、英国紳士としてはね。
その上、人間だけではなく、動物たちにも大人気。
ルーク少年のように、動物と話せる能力はないが、
みんな私に寄ってきてくれるのだ。
キリンさんはとても人懐っこく、

魚さんは水槽から飛び出し、

くじらさんにいたっては襲い掛かってくる始末である。

お気づきになっただろうか。
この町の住民は人形ではない、
なんと、全て絵画なのだ。
いわゆる、トリックアート※1である。
それにしても、とても不思議な町だった。
不思議研究の第一人者である私が
自信を持って太鼓判を押すことが出来る町だ。
私がいつも使っている言葉がある。
「謎は解けるから謎なのさ。」
しかし、この私をもってしても、
トリックアートの謎は解くことが出来ない。
何故、肉眼と写真で撮った風景が
全く違って見えるのか?
まったくもって、わからない。
英国紳士の名折れである。
≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 トリックアート・・・
トリックアートとは、遠近法を駆使して平面上に描く、
超リアリズムの世界。
照明を凝らして二次元を三次元に見せたり、
額縁から手や足を飛び出して見せたり、
遊び心いっぱいのアートである。
(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。
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