お盆休みの予定は白紙である。
御在所※1に登った時に、次は富士山登頂という
大目標を立てていた。
富士山は言うまでもなく、日本最高峰の山であり、
標高3776mの日本一高い山である。

富士山を登らずして、日本人と言えるのか。
青木ヶ原の樹海散策もセットに
「お盆休みミステリーツアー」は企画された。
ハラハラドキドキしなければ、長い人生つまらない。
私は怖いもの苦手だが、好奇心の塊。
金八先生は怖いもの知らずの、イケイケ人間。
痛風男は宜保愛子大好きの、オカルト青年。
こんな3人だから、怖いものは何もない。
そんな私たちに思わぬ伏兵が立ち塞がった。
それは、金八嫁である。
金八嫁は非常に心の優しい人間だ。
お盆に肝試しをして、
霊に取り憑かれることを心配してくれたのだ。
私たちのミステリーツアーはあえなく却下となった。
思い起こせば、私が小学校の頃、
奇妙な出来事があった。
夏休みには「あなたの知らない世界」が放映され、
コックリさん※2が大流行した時期がある。

人面犬や人面魚、トイレの花子さんなど、
「都市伝説※3」が大流行した時期である。
夏休みが終わり、新学期が始まる。
夏休み気分が抜けきらない私は、
友人のうちでなんとなく写真を眺めていた。
悪寒が走り、人の視線を感じる。
よくよく写真を見てみると、
明らかに人影と思われるものが写っていた。
<これは合成写真です。>

他の写真も見てみると、ところどころに人影が・・・。
友人のお母さんは買い物に出掛けて、
まだ当分、帰ってこない。
私:「お母さん、早く帰って来て。」
心の中で何度この言葉を叫んだことだろう。
怖すぎて、写真から目を離すことが出来ない。
心霊を人差し指で指さないように、
慎重に写真を取り扱う。
人差し指で指すと、
霊がのりうつってしまうからだ。
傍らにある他の写真にも、
不気味な影が写っていた。
きっと、悪霊に狙われてるに違いない。
全ての写真の心霊箇所を丸く囲み、
友人家族の目線を消していく。
少しでも除霊できれば・・・。
すると、突然 玄関のドアがゆっくりと開く。
ギ ィ ギ ィ ギ ィ ー
私たちの心臓は破裂寸前。
そこへ入ってきたのは友人のお母さんだった。
ほっ。
私たちは安心して、
泣きながら心霊写真の相談をした。
お母さんの顔から血の気が引くのがわかった。
優しかったお母さんは
みるみるうちに般若の形相に・・・。
その後、私たちが大目玉を喰らったのは言うまでもない。
彼の幼少時代の思い出写真は・・・
全て心霊写真になったのだ。
≪イソジンのよく解る用語解説≫
※1 御在所・・・
ISOJINが毎年登る標高1212mの山。
近くに温泉もあるため、日帰り登山にはちょうど良い。
詳しくは「バーティカルリミット」をご覧ください。
※2 コックリさん・・・
狐の霊を呼び出す行為。
紙の上に十円硬貨に参加者全員の人差し指を添え、
「コックリさん、コックリさん、おいでください。」と
呼びかけると硬貨が動くというお遊び。
※3 都市伝説・・・
どこからともなく広がった噂話。
詳しくは「やりすぎコージー」をご覧ください。
(注)ISOJIN Blogはフィクションです。実在する人物、団体、事件には関係ありません。全ての判断は読者であるISOJINマニアの皆様に委ねられています。
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